SSブログ

Jim Hidy 7'9" #4 「かたいのとやわらかいの」 [バンブーロッド "Bamboo Rod"]


木もれ日のなか、新緑に染まった遠野S川上流
広葉樹の森の中をすみきった水が流れ、うつくしい魚を育む、このような流れを未来へと・・・。
どんなにすばらしい竿を持っていても、その竿を使うべき場所がなくなってしまったらお終いですからね。

7月4日のブログ、Jim Hidy 7'9" #4 3P2T と「バンブーロッドのいま」の続きです。

Jim Hidy は、サンフランシスコとその周辺に居住する西海岸系ロッドビルダーの系譜を受け継いでいます。
西海岸系フライロッドの特徴は、E. C. Powell, R. L. Winston,に特徴的に見られるキャスティング能力の高さなのだと思います。


そのロッドはゴールデンゲート・キャスティング&アングリングクラブというキャスティングおたく系の釣り人からの要求、

「ロングキャストのための軽くてパワフルな竿が欲しい」

に、周辺のビルダーが応えた結果なのだと思います。

竿の反発力をより効果的に発揮するために、できる限り重さを排除する。
その手段として用いられたのが、いわゆるホロービルト、中空構造だったわけです。

もう一つは、最大限のパワーを出力するために竿の全長をフルに使ったテーパーデザインです。
そのためにはグリップ直上、もっと言えばグリップの中のブランクさえパワーを引き出すために使うってコトですね。

その結果、竿は外見的にはスッとした、あまりテーパー変化が付けられていないように見えるものになります。
グリップから先へ向かってなだらかに細くなっていくだけの、なんてことのないただの竿(笑)
目にはっきり見えるようなスゥエルバットなどとは無縁の竿。

その昔、レナードやペイン系のスッと太くなったバットにシガータイプ・グリップの竿ばかり目にしていたとき、ウインストンのハーフウェルグリップにメリハリのないスルッとしたブランクの竿は、やたらと「しょぼく感じた」ことを覚えています(笑)

きっと、今の人もそう思ってるんじゃないかなあ・・・
なんかねえ、見た目でもはっきりわかるスゥエルバットの竿って妙に人気あるでしょ、高いし~(笑)

私見ですが、
スゥエルバットの竿を振ったときにシャープに感じるのは、単に曲がる部分が少ないからなんじゃないか、って感じます。
それはそれでいいのかもしれないけれど・・・

西海岸系の竿は、パワー感の割にはバットが細いです。
ジムの作る竿も、もちろんそうなっています。

僕は「一般的な竹竿にあるらしい黄金律」、
#4ラインならば7フィート、#5は7.5フィート、・・・ってやつですね、
から逸脱したかなり長めな竿が好きなのですが、そうなるといい竹竿はかなり少ないです。
っていうより、めったにないですね。
これは!って思った竿は、現役のビルダーではフリース、羽州、そしてジムの作る竿ぐらいかなあ。
マリオもいいのだけれど、最近のパラボリック系のモノはちょっとトップヘビーで抜けが悪いような気がします。

#4ラインのロッドをジムに頼んだときに、ジムは僕に8フィートのモノを勧めてくれたのだけれど、釣り場として上に木が被さった川がイメージにあったので、あえて7’9”で作ってもらったのです。
ラインを通して振った感じは、とても7’9”あるとは思えないほど軽快で、長さを知らない人に振らせると
「7フィートちょっとかナナハンぐらい?」
って言われることが多いですね、この竿は。
実際はかなり大きめな川でも十分使える長さと、風にも負けないパワーを持っているんですけどね。

で、どうしてジムは同じ「7'9" #4」でもう一本作って持ってきたんだろ?
って思いながらもう一本の竿を振ると、
「えっ!」
って思うほど、手元からしなる竿なんですが、コレがまたいい。
それに、この竿もジャスト#4ライン。


下が「ふといの」、上が「ほそいの」、のバット部分。太さの違いがわかるかな?


左下が「ふといの」、右上が「ほそいの」、バットセクションのフェルールの比較。
ワンサイズ(?)違うのが歴然です。
ちなみに、ミッドとトップを繋ぐフェルールもワンサイズ(?)違います。

ラッピングその他が同じ仕様なので、セクションを取り違えて間違わないようにフェルールの大きさを変えたわけじゃないですよ(笑)

一般的な感覚だと、同じビルダーが作った竿で、
「長さが同じ、かつ、太さがここまで違う」
と、
「同じライン番手を使う竿ではあり得ない!」
んですけどねえ・・・
でも、使ってみて感じるのは、確かにどっちの竿も#4ロッドだということです。
それにどちらの竿もアクションに無理が無く、なんら努力せずに綺麗なスラックの入らないラインがスッと伸びていく。
平気でこんなのを作る人が、ジム・ハイディなんですよ。
融通無碍っていうのかなあ、違うタイプの竿をどこにも破綻無く作ってしまう。

ジムに竿を頼む場合は、竿の好みについてよくディスカッションした方がいいですね。
もちろん、長さと番手を言うだけで素晴らしい竿を作ってくれるのですが、これだけ違うアクションのモノを作れるのだから、使う側のイメージがしっかりしていれば、そのイメージに合った竿を作ってくれる可能性が高いってコトです。

ただ、既製品から選ぶのじゃなく、自分の好みを正確にオーダーすることってほんとうに難しいですよ。自分の見識が明確に表に晒されるってコトですから。
頼んだ本人が本質をわかっていないと、いったいなにやってるんだか・・・って言うことになってしまいかねない。

よくいるでしょ、「オーダーものだ」っていってとんでもないのを持っている人って・・・(-_-)

 

 

 

 




 

 


nice!(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。