フライを投げ魚とファイトしながら考えたコト [フライロッド!(素材にかかわらず)]
クラマスリバー水系のネイティブ・スチールヘッド、約10ポンド
クラマスリバー水系は、オレゴンとの州境のすぐ南を流れるスチールヘッドリバーです。
このクラマスリバーにはネイティブとハッチェリーのスティールヘッドが混生していますが、この魚はアブラビレがカットされていないのでネイティブフィッシュだということがわかります。
今回の旅には、中村羽州作、唐竹8'6" #6~7 4P、をビッグレインボー&スチールヘッド用に持っていったのですが、バカでっかいキングサーモンを掛けてバットフェルールを破損させてしまい、急遽現地のスチールヘッドフィッシングガイドから譲り受けたセージの#5ライン用のウルトラライトスペイロッドを使って釣りを続けました。
この、12'6" #5、というツーハンドロッドは5番のスペイラインを使うのですが、この竿はメーカー物としてはおそらく最もしなやかなスペイロッドで、カタログを見る限り、こんな竿誰がどこで使うんだろ?ってぐらい妙なスペックなんですね。 だって、5番のスペイロッドなんて、いったいなにをするためにあるんだって思いませんか?まあ、実際のところこの#5のスペイラインはふつうのフライラインに換算するなら7番程度の負荷になると思いまが・・・。
でもこのロッド、実際に使ってみると、目から鱗が落ちる!とはまさにこのことだ、ってぐらい良かったんです。
カリフォルニアやオレゴンのスチールヘッドリバーには最適なんじゃないかってぐらいにね。
この辺りの川は、BCのビッグリバーに比べて小規模で魚の密度が濃いってこともあるのでしょうが、釣り人やガイドの半数以上がシングルハンドロッドを使っています。
スペイロッドでも13'以下の#6がメインで、13'オーバーの#7だとちょっとデカ過ぎんじゃないの、って感じになってしまいます。
あまりラインを伸ばして遠投したりせずに「小刻みに狭い範囲で着実にポイントを潰していく」的な釣り方がこのエリアでは効果的ということもあると思います。
また、ウエットフライの漠然としたロングスイングではなく、魚が付くピンポイントを狙ってのニンフィングや、ポイントの底へ流し込んで誘いをかけるタイプの釣り方が断然効率がいいので、「日本人の大好きな、重厚長大超遠投用」のトンプソン&スキナー本流仕様スペイロッドではロッドが扱いにくくって対応しきれない、っていう事情もあるのです。
実際、僕が持っていった、13'6" #6/7/8、ミディアムアクションのバークハイマーだと、バ~ンと投げてメンドしてスイングさすにはいいのだけれど、やたらとあるスパンの短いポイントには全くと言っていいほど向かないですね。
人の好き好きだから断言はできないものの、スチーリーをフッキングできるチャンスが圧倒的に増えるのは、ポイントを立体的にタイトに狙えるスカジッド的なショートヘッド、もしくはニンフィングです。
スイングでの向こう合わせを待っている釣りと、積極的に魚の目の前にフライを持って行って合わせていく釣りでは、フッキングする数が圧倒的に違うように感じます。
ま、獲れるか獲れないかってのは別問題なんですが…(-_-;)
川で大物を狙うロッドは、流れの中でのポイントへのアプローチの自由度を考えると長ければ長いほうがいい、しかし軽快で瞬時に動かせなければフッキングの確立が一気に落ちる。
西海岸を拠点とするSAGEやG.Loomisからライト・ツーハンドやセミ・ツーハンンドロッドが発売されているのもこのあたりのニーズにこたえるためでしょうね。
ここからロッドのアクションの話になるのですが、#5のツーハンドロッドって正直言って柔らかくてパワー感がない!
う~ん、こんな竿でビッグフィッシュが獲れるんかいな??って感じなんですね。
でもね、この竿は大物キラーなんですよ(笑)
狭いポイントでスチールヘッドを掛けてもうこれ以上ラインを出せないって時に、やむなく全体重をかけてU字型に曲がり切るまで竿をひん曲げたら、全長を使ってグ~ンってグリップの中まで曲がり込んでいって魚が止まったんですね。
竿はもうヤバイんじゃないかってぐらい曲がりきっているし、ティペットの強度もこれまでの経験からイマイチ信用しきれなかったんだけれど、おそらく曲がりきった柔らかいロッドが長いショックアブソーバーになったらしくって、切れも外れもしない。
あれ~・・・(ーー;)、って思ったんですが、それから何回も同じことがあって。
柔らかい竿のほうがバツグンにいいやん!
って思い始めたわけです。
その後、この春某河川で同じような経験をして、
釣るための竿ってなんだろう?
って考えることになってしまいました。
「釣り竿としてのフライロッド」
魚を掛けてから始まる、獲るための道具としてのフライロッドについて、です。