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ABEL Super 12 AR エーベル スーパー12 アンチリバース(海フライリールの私的考察、その5) [フライリール "Fly Reel"]

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ABEL Super 12 AR (エーベル スーパー12 アンチリバースモデル)

ソルトウォーターリール、その両雄のひとつ、エーベルのスーパーシリーズ。
このモデルはあまり一般的ではないアンチリバースモデルです。

ひさしぶりに手に入れたアンチリバース・リールですが、同じメーカーが造るよりリーズナブルな価格のダイレクトドライブ・リールと比べてメリットがあるんでしょうか?
このブログではアンチリバースとダイレクトドライブ、それぞれのメリット、デメリットについて僕が思ったことを書いてみようと思います。

釣りの現場では、このリールを使って、2~3キロのビンタ(マグロ類の幼魚?です)からメーターオーバーのシイラ、50ポンドオーバーのセイルフィッシュまでランディングしました。
でも、まったく同じクラスの魚をダイレクトドライブのリールでも、これまた、まったく問題なく釣り上げています。

この二つのドラグシステムにおいてもっとも異なっているのは、リールからラインを引き出されながらスプールが猛烈な速さで逆回転しているときに、ハンドルはじっと静止してまったく回転していないか、それともスプールと同じ速さでブン回っているのか、っていう機構的な違い以上に、魚とのファイト中にラインに掛かるテンションをリールのドラグまかせにするのか、それとも魚へのプレッシャーをアングラー自身が積極的に変えていくのか、という部分だと思います。

極端な言い方をすると、受動的にファイトをする、
もっと正確に言うと、機構上どうしても受動的なファイトになってしまうアンチリバースリールと、
積極的に能動的なファイトに持っていけるダイレクトドライブリールという違いです。

最初から適切なレートに設定したドラグを使ってアンチリバースリールでファイトすることは、オフショアなどのラインを引っ掛ける障害物がないという条件において、フッキングからラストを飾るランディングに至るまでの過程でもっともリスクが小さく失敗することが少ない方法だと思います。
これは現代の高性能なスピニングリールやベイトリールを使ってパワフルな対象魚とファイとする方法とまったく同じです。
ビッグフィッシュをターゲットとするスピニングリールやベイトリールのハイエンドモデルは、選択の余地もなくすべてがアンチリバースだといってもいいと思います(例外として磯釣り用のスピニングリールがありますが・・・)。

ということは、
ダイレクトドライブリールはあえてリスクに挑戦するための使いこなしが難しい趣味の道具なのか?
ってことになりますよね。

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ABELのアンチリバースモデルを簡単に分解するとこうなります。
ただしナットを緩めるためには付属の専用ツールかスパナが必要です。

このあたりが、ひとことでは言い切れない部分です。 
だって、もしそうだとすると、スピニングリールがそうであるように、フライリール市場はアンチリバースリールが支配するはずでしょ。
でも、現状はアンチリバースのフライリールは市場においてごく少数派でしかありません。ダイレクトドライブが完全に主流占めています。

その理由として考えられるのは、フライリールの巻き取りの遅さです。
ハンドルを1回転したときに巻き取れるラインの長さは、直径10センチの海用のリールにラインをいっぱい巻いた状態でほぼ30センチ。ラインがバッキングまで出ていれば実質的な直径はより細くなるのでもっと短いですね。
同じクラスの魚を釣るために使うスピニングリールだと、ハンドルの1回転で最低でも70センチは巻き取ることができます。
スピニングリールだと、いくらラインを引きずり出されてもハンドルを回せばすぐに回収できるわけですが、フライリールの場合はそうはいきません。だからファイト中にラインを引き出される量をできるだけ少なくしたい。そのためには状況に合わせて可能な限りのプレッシャーを掛けたいわけです。

そうした実戦で使う上でいちばん問題になってくること、
それは、ラインを巻き取るときに、そして魚が予想外の猛烈なダッシュをしたときに、ドラグのテンションをラインブレイクさせない範囲で速やかに増減できるかどうか、ってことです。
それは、また反対の意味、強引に巻き取ることが出来るときには無理矢理にでもラインを回収することが可能かどうか、にも係わってくるのです。
このあたりのフレキシブルさは、ダイレクトドライブリールの方があきらかに勝っています。
ラインアウト時により強いドラグが必要だって感じれば、スプールのアウトリムをパーミングする指や手のひらの圧力を増やすことで対応できますし、巻き取るときには、ハンドルをつかんで回すことによってラインが切れない限りのテンションを掛けて強引にファイトすることも可能です。

魚を船縁まで寄せてランディングする時にも同じような状況が発生します。
ダイレクトドライブのリールだと、ドラグは突然の暴走にも対応できるような弱めのテンション設定で、寄せられるときにはスプールを押さえながら強引にポンピングすることが可能なのですが、アンチリバースだといざ巻こうとしても、ゆるめのドラグ設定のままだと巻き取り時にラインが出て行ってしまいます。かといってドラグを締め込んで強く設定すると、われに返った魚の突然のランに対応できません。
しかたがないのでラインの出るのにまかせて、ボチボチと時間を掛けてよっこらしょとやりとりするわけです。それがいちばん安全な方法ですから。
アングラーが自分だけだったらそれでもいいのですが、他の人が乗り合わせている場合、これってけっこう困ったことなんですよ。その間釣りができないで待っている他人の視線も気になるし、自分だってよほどのビッグワンじゃない限りサッサと片付けて次の魚を釣りたいじゃないですか。
やっぱり可能な限り早くランディングまで持ち込みたいわけです。
この点でもダイレクトドライブの方にメリットがあります。

マグロやカジキは未だ釣ったことがないのでわからないのですが、少なくとも対象魚がセイルフィッシュぐらいまでならばダイレクトドライブの方が使いやすいんじゃないかと思います。
アンチリバースはファイト中にアングラーのミスからラインブレイクする可能性が低く、構造上、猛烈な速さで逆転するハンドルで指を叩くという事故もおきないので、リールを使いこなせていない初心者やキャリアの短い人、そして爪を伸ばしている女性にはいいと思います。

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中空の太いメインシャフトはアンチリバースモデルのみ2重構造になっていて、ステンレス製のTIBORとは違い、素材は真鍮のようです。

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ドラグプレートとクリックはTIBORに比べてかなり薄いです。強度的にはどうなのかな~

実は、この写真を撮っていて、問題を発見してしまいました!!

でこぼこになったカムの左側に注目してください。
ドラグプレートのサイドのカムが見事にすり減っていますね・・・(>_<)


このABELが使っているドラグプレートのベースですが、素材はわかりませんが、強度的にはちょっと問題があるんじゃないでしょうか。
セイルフィッシュを5~6匹掛けて走らせた(なかには300mを一気に走ったのもいますが)だけでこれだけすり減ってるんじゃあねえ・・・(-_-メ)

カムがすり減った理由はいくつか考えられますが、その根本的な原因は素材の強度だと思います。
このリールとTIBORを比べるとこっちがあきらかに軽いのですが、もし軽くするためにパーツの強度が落ちているとすれば、ソルト用のリールとしてどうなんでしょう?
ABELのHPによると、ドラグプレートは普通のスーパーシリーズで$42もするバーツなんですから・・・。

 


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