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HS/HL(ハイスピード・ハイライン)キャスティング、ってどうなの? [フライキャスティング]

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HS/HLキャスティングのデモをする"GENIUS ROD MAKER"の新藤さん。
クローズドスタンスでフルラインを簡単に出し切る「ショートストローク」には凄味さえ感じます。


'70年代から'80年代にかけてフライフィッシングを始められたほとんどの方が、HS/HL(ハイスピード・ハイライン)キャスティングというキャスティングテクニックをご存じだと思います。

もちろん、そのHS/HLキャスティングをやってみようと思われたり、
また実際に練習して習得されたかどうかは、また別問題なのですが・・・

当時あれほど喧伝されていたにもかかわらず、結果的にHS/HLキャスティングを使われる方は少ないですよね。

その理由として考えられるのは、
ひとつめには、まず間口が狭かったということです。

だって、

"Pezon et Michel"のバンブーロッドを持っていないと、HS/HLキャストは不可能だ!

みたいな感じがありましたからね~(--;)

そして、大枚をはたいてペゾンのロッドを買ってチャレンジされたとしても、ごく一部のマニアックな方をのぞいて、おそらく大多数が途中で投げ出されたのじゃないかと思います。
もちろん、僕もそのひとりですよ・・・σ(--#)

その理由は、HS/HLのテクニックは本などを読んで理屈は理解できても、それを身体で覚えるのはなかなか難しく、個人的にかなりの練習量が必要であること、
そのうえHS/HLキャスティングの練習をするときには、そのHS/HLをかなりのレベルまで習得した人に直接教わらないことには、自分の修正点どころか、どこをどう動かしたらいいのかさえわからないままになってしまいます。

そして、結果的には、

「なんだかよくわからないけど、まあ、こんなもんでいいか・・・」

って感じの、力で解決したような我流のキャスティング・スタイルになってしまいがちでした。

だって、「ペゾンのバンブーロッド」は大半のモデルがどのように振ったってブッ飛ぶんだから(笑)

そこに、ほぼ時を同じくして、
当時としては画期的なキャスティング能力を秘めていた「グラファイトロッド」と共に、ダグ・スイッシャー氏の「プッシュ・プルキャスト」が入ってきたんですね。
また、レフティクレー氏あたりが提唱する「ベイシック・キャスティング」の見直しがあったりして・・・、

「なんだか適当に振っても、そこそこ釣りになるよね~」

って、いうような状況になったわけです。

スムーズに、そして前後に真っ直ぐ(正確に言えば、ロッドが動く平面をフラットにして、その面を狂わせないよう)に振りさえすれば、高性能なグラファイトロッドはそれほどたいしたテクニックを使わずともキレイなラインをそこそこの距離まで伸ばしてくれるわけです。

そして、初心者にいちばん最初に「ピックアップ&レイダウン」を教えるときにクローズドスタンスを取ることをわずかな例外として、一般的にはキャスティングをするときのスタンスはオープンになり、
より距離を出すためには、そのオープンスタンスからよりカラダを開き、カラダの回転も使ってロングストロークに振り抜くという方法がごく自然に使われるようになりました。

例えば、「某フライ関係雑誌」でよく取り上げられている「ビリー東」さんのキャスティングがその典型です。

この、いわゆるFFF式のキャスティングの一般的な特徴は、

「オープンスタンス」
「ロングストローク」
「スリークォーター」
「ナロゥループ」

でしょうか。

僕のキャスティングも、基本的にはこのスタイルです。

まあ、これで実際の釣りにはほとんど不自由しないわけです。

でもね~

先日、"GENIUS ROD MAKER"の新藤さんと「ご近所の天川」へアマゴ釣りに行ったときに、
久しぶりに新藤さんのドライフライを使った釣りを見て、

「へ~、こんな釣り方があったんだ!」

って、感心することがあったんですよ。

それで、いちどじっくり新藤さんの釣り方をよく見て研究してみようと思って同行したのが、"GENIUS ROD MAKER" さん主催の『ジーニスロッドを楽しむレクチャー in 丹沢ホーム』だったわけです。

ちなみに、このイベントについて僕が書いた記事は『こちら』にあります。
参考にしてください。

ところで皆さん、ドライフライを使った釣りでドラグを防ぐにはどうしていますか?

細いティペットを長く使う、もしくはキャスティングでラインやリーダーを故意に曲げることによりドラグを回避するという、プレゼンテーション絡みの対策か、
メンディングを多用して、魚をフライにライズさせるのに必要な「見せる部分」だけをナチュラルにドリフトするか、だと思います。

でも、そのためには長くて細いティペットが必要ですよね。

ところが、新藤さんは4Xという太くまた短いティペットを使ってドラグを回避させるんですよ!
見ていると、けっこう唖然とします・・・

その釣り方というのは『ドライフライキャスト』というのですが、
簡単に説明すると、ポイントにフライから先に落としてやることによって、フライがドラグフリーで漂うタイムを稼ぐという、当たり前と言えば当たり前、でも実際にフィールドでやろうとすると、ごく近距離の場合はともかくとして、ポイントまでの距離が少し伸びただけで実行することがかなり難しくなるテクニックだと思います。

その釣り方を実行するためには、スリークォーターからサイドキャストに特有の、ターンするときに横向きのベクトルが発生するループではまったくダメで、ストレートに縦のターンをするループを作り出せるキャスティングが必要になってきます。
そのストレートな縦のループをどうやったら作れるのか?
という部分に「HS/HLキャスティング」が、かかわっているのです。

釣りをする上で、HS/HLキャスティングがもっている最大のメリットは、
限りなく垂直に近いターンをするループを作れるというところにあります。

垂直なループを作るためには、ロッドを限りなく地面に垂直に近い軌跡を描いて振る必要があるわけですよね。

でもね、普通はロッドを垂直に立てては振らないんですよ。
垂直には「振れない」とも言っていい。

その理由は簡単なことです。
ロッドを垂直に振るためにロッドティップからグリップ、そして肘までのなにもかもを垂直に並べるようにして振ると、通常のキャスティングじゃ距離を伸ばしていくとフライラインのベリーが下がってしまい、その結果として、フライラインやフライが竿やカラダにぶつかるからなんです。
まあ、それが当たり前っていえば、確かにそうなんだけど・・・

それをクリアする方法が、HS/HLキャスティング、それもショートストロークのそれのようです。

ただ、僕はそんなキャスティングがあるんだ・・・(--;)
って理解したぐらいですから、その先は"GENIUS ROD MAKER"の新藤さんに直接聞いてもらった方がいいと思います。

また「新藤さんの書くブログ」を読んで頂いてもそのエッセンスは伝わってくると思います。

彼は、いい意味での「キャスティング・マニア」ですから。

もちろん、「キャスティングのためのキャスティング」ではなく、
「釣るためのキャスティング」ですけどね。


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