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5シーズン目の"Alchemy Model 50 Prototype" [メーカーが語る"Alchemy Reel"の秘密]

今日は、ひさしぶりに『自分んちのリール』をテーマにしました。

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5年間、耐久テストも兼ねて使い倒して傷だらけになった、『Model 50 プロトタイプ』

このリールでけっこうハードな源流にもいきますからね~
竿を持ったまま転けるのは日常茶飯事だし、たまには落ちる・・・

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擦れて、あたって、へこんで・・・、リムはもうガシガシ。

でも、いい感じで古びてきているでしょ。
「クラシックリールのような風格が出てきた」って言うと、さすがに言い過ぎか・・・(笑)

反対側もこんな感じ。

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裏面も、痛んでますね~

 

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アップにすると、傷だらけです。でもね・・・、よく見るとどうですか?

使い込んで傷などが付いていくと味が出てくるモノと、
なんとなくヤレた感じがして、新品の時の方が良かったな、って思わせるモノがあります。

その境目は、微妙~、なんです。
持ち主の思い入れ、なんて部分が大きく作用しますしね。

ただ、人工的に創られた素材を使ったプラスチッキーなモノや、ピカピカに塗装やメッキが施されたモノは、経年変化や使用中に付いた傷が味わいになるとは言い難い場合が多いような気がします。
この典型的な例が、ピカピカに磨かれた高級国産車かもしれません。

反対に、古くなることによって味が出てくるモノは、天然木を使って作られた家具や漆塗りの食器、革製品やシルバーウェアなどでしょうか。

フライフィッシングの世界では、前世紀初期頃に作られた一連のアメリカ製フライリールや、戦前の"Hardy"を中心とする英国製のリール、クラシック・バンブーロッドなどがそれにあたるのではないかと思います。

僕はリールメーカーなので、「フライリールの味わい」についてはけっこう思い入れがあるんですね。
使い込んでいくほどに味わいがでるモノって、いったいどんなモノなのか?
って、いろいろ考えてみたんですよ。

ひとつ気がついたのは、それは機能やデザインからくるモノじゃないかもしれない、ってコトです。
あの使い物になるとは言い難いプレス打ち抜きのリールなどを眺めたり弄ったりしていると、よけいにそんな気がしてきます。

いまのところ、使い込んでいくことによって味わい深くなっていくモノが持っている本質として、
自分の中での結論として残ったのは、ある特定の「素材」が使われている、ということでした。

リールの場合、それはブラスやニッケルシルバー、アルミニウムといった表面処理をされていない無垢の金属と、ハードラバー(エボナイト)と呼ばれる樹脂でした。

例外は、古い英国製リールのブラックレッドフィニッシュと呼ばれる表面処理加工です。
また、アメリカの製品ではチープなニッケルメッキもあるのですが、ここで説明するとややこしくなるので割愛します。

「ハードラバー」の特性は、材料が生ゴムと硫黄という天然素材だということだけではなく、その微妙な弾力性にあります。
そのためなのか、傷の付き方が「エンジニアリングプラスチック」とは明らかに違います。
傷がマイルドなんですね(笑)

また、経年変化による退色というのでしょうか、最初のツヤのある漆黒から、微妙に緑や茶色がかった黒へと変色していきます。
それが、またいいんですね。

無垢の金属素材が見せる顔も、また同様。

この使い込んだリールの写真を見て、そのように感じて頂けるでしょうか?
そう思って頂ければ、成功なのですが・・・(笑)


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