リールシート、三態 [バンブーロッド "Bamboo Rod"]
Asama Rodworks 7'6" #4
Asama Rodworks 6'3" #4
Kuramochi Rod Co. 7'6" #4
これら3つのタイプが、8フィート以下の軽量級?バンブーロッドでよく見られるリールシートの形状です。
なかでも、3番目、
ウッドのリールシートフィラーにキャップ&リング、という形を好む方が多いのではないでしょうか。
メーカーやビルダーも、このウッドフィラーにキャップ&リングというリールシートが付いた竿をスタンダードとして製作することがもっとも多いような気がします。
ユーザーのニーズが多いからなのか、
それとも、バンブーロッドのひとつのステレオタイプとして、ビルダーが深く意識することもないままに製作されているのか、
そのあたりはちょっとわからないのですが・・・。
フライフィッシング関連のイベントやテーブルショウの場では、さまざまな銘木で作られたスペーサーが大量に展示され販売されています。
この、リールシートのウッドスペーサー部分にいわゆる「銘木」を使用するという風潮が、この国だけではなくアメリカのロッドビルダーにも見られる、というコトはたいへん興味深い現象です。
釣り竿の機能性以外の装飾という情緒的なこだわりがこの部分に現れているとも言えるわけですね。
バンブーロッドの銘木リールシートは、高級車のインテリアに使われているウッドパネルや、高価なショットガンやライフルのストックと同じように、持ち主の趣味性を表すものなのでしょう。
ところで、釣りをしている最中にリールを落っことしたことはありませんか?
たとえ落としはしなかったとしても、ユルユルになっていた・・・、
なんてことはどうですか?
僕にはそんな経験が何度もあります。
そのせいで高価なクラシックリールをぶっ壊したこともね。
この種の事故が起こるのは、
ほぼ100パーセント、ウッドスペーサーとスライドリングを使ったリールシートなんですね。
もうひとつトラブりやすい条件を付け加えると、
「ダウンロックのキャップ&リングで、ウッドスペーサーのリールシート」
ということになります。
そう、バンブーロッドでいちばんよく見かけるリールシートです。
(アップロックの場合には、この星の重力が作用するちょっとした秘密があります。)
特にハードウッドを使ったリールシートフィラーは、組み合わせる金具(スライドバンド)の具合によっては、リールが止まらない最悪なリールシートになってしまいます。
ということは、スライドバンドの微妙な設計次第ではちゃんと使えるようになるのですが・・・、
そのあたりは見識のあるビルダーさんに聞いてくださいませ(笑)
リールシートのスペーサーとして、機能的に最も優れているのは、
軽く、そして弾力性のある素材。
つまり、『コルク』です。
次が、弾力性があって軽い木材。
アメリカのメーカーが作った古い竿や、ブランディン、ウジニッキの竿によく使われていますね。
それらと比較すると、ハードウッド(の銘木)は機能的に見るとまったくいいところがありません。
ま、見てくれだけです(笑)
でも、釣り竿は漁師の道具じゃありませんからね。
釣り竿は趣味、道楽のための『お道具』
それにどんな風な装飾を加えようと、それはあくまで個人の嗜好です。
ただ、釣り竿を買ったり誂えたりするときに、
見た目で選ぶだけではなく、
竿を構成する素材によるメリットやデメリットがあるということ。
そして、竿の製作を頼もうとするビルダーや、そこから竿を買おうとする販売者がその竿に使ったり、使われたりしている素材の特性をちゃんと理解しているのかどうかを、
竿を注文したり買ったりするユーザー自身がちゃんと知ることが大切だと思います。
まあ、いいかげんなコトがまかり通っているのが、この世界でもあるのです。
しょうむないモノを買ってしまうことは、金銭的な損害だけではなく、限られた大切な時間の損失でもあるのですから。
それを勉強だと言い切れる剛胆な方も、たまにはいますがね(笑)
最後に、これら3本の竹竿の佇まいをちょっと・・・
上の2本が『朝間ロッド』、下が『クラモチロッド』です。
これらのロッド、3本とも、"P. H. Y." のロッドにインスペクトされたパラボリック・テイストのアクションを持っています。
ちなみに、この『クラモチロッド』
「ウッドスペーサーのキャップ&リング」はちゃんとリールが止まりますよ(笑)
どうですか・・・?
コルクのリールシートフィラー、見た目も悪くないでしょ(笑)