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"Asama Rodworks" マダケロッド、その2 [バンブーロッド "Bamboo Rod"]

IMG_1726-500.jpg
"Asama Rodworks" の3本、
いちばん下は、トンキンケーンの "Asama Midge" 6'3" #4 (僕がワンシーズン使用したもの)

 

朝間さんのマダケロッドですが、前回は中空構造の竿について書いたので、今回はフツ~のソリッドロッドについて、実際に釣りをしてきた上での感想を書いてみようと思います。

その前に『朝間ロッド』のコスメについてちょっと・・・

真ん中の『マダケ中空』を挟んで、ソリッドロッドが2本。
ブランクに使われいてる竹が違います。
いちばん上のハニーブロンドカラーの竿はマダケ、下の軽く焼きが入った竿はトンキンです。

これら3本はグリップからラッピングやフィッティングまで、すべて朝間さんのおまかせで製作された竿ですが、ディティールがみんな違います。

グリップスタイルにしても、レナーッドっぽいシガーや、ストレートで先だけが丸いシガーなどとさまざまで、"Asama Rod" の定番スタイルとでもいう「カタチ」は未だ決まっていないようです。

 

だから、外見だけではその竿が『朝間ロッド』だとはわからない場合が多いですね。

『朝間スタンダード』というスタイルが今後できあがってくるのか、
それとも、そういった外見的な定番を持たないで、カスタム的にいろんなスタイルの竿をブランクの個性に合わせて作り続けるのか・・・

ぱっと見ただけで "Asama Rod" だとわかるようなスタイルが、必ずしも多くの人の好みに合うかどうかはわからないコトです。
アクションは好きだけど、このコスメはちょっと受け入れられない、なんてこともありますから。

初代ヤングのように、いろんなカタチのグリップやラッピングがあって外見的にはナニがナンだかわからない。
でも、振ればヤングだってわかる!!
こんな感じで、振ってみれば『朝間ロッド』だってわかる竿が『朝間さん的』でおもしろくって好きなんですが、ビジネスとして考えるとそうも言ってられない、ってこともありますしね・・・。

それに、グリップひとつとっても、
個性があって、機能的で、かつ美しいグリップのデザインってとても難しいと思います。

例えば、ウジニッキのグリップですが、
グリップまわりを見ただけで「あ、ウジニッキだ」ってわかる最近の抑揚のキツいウェルズタイプのグリップは個性的だという点ではいいのですが、僕は彼の中空ロッドがセルベックスといっていた頃、つまりScottブランドのバンブーロッドを作り始めた頃の、シンプルなシガーやあまり抑揚のないウェルズタイプのグリップの方が美しさや機能面でいえば上だと思いますし、しっとりとした個性を感じられて好感が持てます。

現代のバンブーロッドメーカーで、独創的な個性と機能と美しさ、そのすべてを満たしていると言えるのはフリースのグリップぐらいかもしれません。
この点だけとりあげても、フリースは天才的な感覚を持ったメーカーだと思います。

 

閑話休題

朝間さんのマダケロッドに戻ります。

このマダケソリッド、7フィートという長さのフライロッドにおいては、
もうバンブー、違った、トンキンケーンなんていらないんじゃないの!!
って思うぐらいのポテンシャルを持っています。

これまでにもいろんなビルダーやメーカーがマダケやその他のこの国で生育している竹や笹をブランクに使ったフライロッドを作っています。
それらの竿からは、いい意味でも悪い意味でも、
「明らかに、これって普通のバンブーロッドじゃないよね」
という、異質なフィーリングを感じました。

ところが、この朝間さんが作ったマダケソリッドはバンブーロッドなんですよ。
それも、凄くよく出来たバンブーロッドに特有の感触を持っています。
力の抜けの良さと、フライラインの直進性の良さ、それに十分なトルクの大きさです。

このことは、よくある普通のタックルではキャストしにくかったり、すぐにもつれて絡まってしまったりする、「インディケーターにショット+ウエイティッドニンフ」などといった投げにくく、トラブルを引き起こしやすいリグを使ったときに顕著な差になって現れます。
グラファイトロッドだとわざとオープンループを作ったりとキャスティングに気を遣うややこしいリグでも、このマダケソリッドはキャスティングするときになにも考えることなしに、ごく普通にスッとポイントへキャストできます。
つまり、ループのカタチを意識しないでもラインやティペットがもつれたり、こんがらがったりしにくいという特性を持っています。
おまけに、7フィートという短いロッドなのに、この投げにくいリグをけっこう遠くまで運んでくれます。

その理由として考えられるのは、フライラインへの出力がひたすらスムーズだからです。
ティップトップの軌跡がほぼ直線で、スムーズにラインを加速していき、振り終わりで適度な幅のループを形成してスッと止まる。
それを竿の方でやってくれる、ということですね。
だからトラブルのいちばんの原因となるテイリングループが発生しにくいわけです。

この凄さは、アベレージレベルの人がこの『朝間マダケソリッド』を振ったときにすぐわかります。
竿を振っている本人も、上手くキャストできるな~なんて感心しているようですが、
もっとおもしろいのは、横から見ているとこの竿に持ち替えるとあきらかにループが変わることです。
スラックの入らないキレイなループが前後に走り出します。

え~、この人ってこんなにキャスティング上手かったっけ・・・??

って思うぐらいにね(笑)
まさに、"MagicWand" です。

今回、朝間さんのマダケロッド、その中空とソリッドをデモロッドとしてお借りしていろんな方に振って頂く機会が出来たのですが、その結果すごくおもしろいコトがわかりました。

平均的なキャスティング、つまり一般的な渓流釣りの現場では不自由無く釣りができるレベルのキャスティングが出来る方は『「マダケ中空』よりも『マダケソリッド』の方を好みます。
そして、もうちょっと上のレベルのキャスティングがわかっている方が、『マダケ中空』の魔力に嵌ってしまうわけです。

もうちょっと書くと、

「竿を振る」人は『マダケソリッド』
「竿に振らせることが出来る」人は『マダケ中空』

に惹きつけられる、というコトです。

それは横から見ていても、空中に展開されていくループを見ているとよくわかりました。
キャスティングをしているときにより美しく生命感のあるループを作っている竿を、竿を振っている人は自ずからいい竿だと感じるようです。

 

朝間さんは、トンキンケーンとマダケでは、それぞれの素材としての特性を生かすために、かなり違ったテーパーを使ってブランクを製作しています。
それは、もう、とんでもない数のスクラッチアンドビルドの繰り返しから、経験上生み出されてきたものなんです。
朝間さんほど、とんでもない数のロッドを削りだしてはスクラップにしてきたロッドメーカーは、この国には他にいないんじゃないかと思います。

その試行錯誤の結果がカタチになったモノが、この2本の『朝間マダケロッド』です。

朝間さんが自身のブログで述べていた、

「数値データーだけではいい竿は出来ない」

という言葉は、その自らの経験が裏打ちしているわけです。


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ガオ・フェアチャイルド

Akiさんお持ちの朝間ロッド「パーペキショニスト」を石徹白川で
振らせていただいた時も、アクションの素晴らしさに驚きまし
たが、このロッドはさらに上を行くロッドですね。これまで
バンブーロッドは「好きだから使う」としか言えなかったん
ですが、このロッドは違いますよね。
ウジニッキに40万円支払った僕としてはヒジョーにビミョーな気持
ちになります。(´Д`)
by ガオ・フェアチャイルド (2010-01-13 09:51) 

あき

ガオ・フェアチャイルド様、

マスプロダクツ以外の製品って、価格と品質が比例していないものがたまにあるんですよ。

特に趣味性の高いモノではよくある現象です。

それを探すのも楽しみのうち・・・だと。
by あき (2010-01-17 10:50) 

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