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竹竿の継手(バンブーロッドのフェルール)と使用上のヒント! [バンブーロッド "Bamboo Rod"]


"Jim Hidy 8'6" #5 3P2T" のフェルール部
(♂フェルールに見える曇った部分は、フェルールに塗ったロウです)

釣りを始める前、釣りを終えたとき、
釣り人は、少なくとも2回、フェルールを意識することになります。

あなたは、その竿のフェルールに満足していますか?

今回のブログは、このフェルールの話です。


延べ竿でもない限り、釣り竿に絶対に欠かせない接続部。
この接続部に使用される継ぎ手、フェルールの出来、不出来が、竿の良し悪しに大きく影響します。

竹製のフライロッドの場合、ほとんどの竿は、この継ぎ手の部分に金属素材で作られたフェルールを使っています。
そのフェルールに使われている金属素材は、ほぼ100%ニッケルシルバーです。

フライロッドに使われているフェルールは、メーカーの既製品からの選択、メーカーへのオーダーメイド、ビルダー自身の手によるハンドメイド、と、ロッドビルダーによってそれぞれ特徴はあるものの、
重さや形、サイズ等については、ビルダー自身が、製作するそれぞれの竿に最もふさわしいと考えられるフェルールを選択しているはずです。
そして、竹竿のユーザーは、既製品はもちろん、ビルダーに直接オーダーする場合でもフェルールの選択にまで立ち入ることはほとんどありません。

つまり、ユーザーとしては、好みのフェルールを選べない、
ってことですよね。

竿のフェルールを抜き差しするときに、すくなからずの疑問や不満、そして不安はありませんか?
特に、フェルールを抜くときに。

1日の釣りを終えてフェルールを抜くとき、僕はいつも不安です(笑)

あまり自慢できた話ではないのですが、かなりの数の竹竿を使ってきたなかで、
フェルールに関連する不満はほとんどのものにあり、トラブルはかなりの頻度で起こりました。

ただ、使っているうちにすっぽ抜けたなんてことは、こと竹竿に関してはいちどもありません。
(グラファイトロッドではよくありますよ、竿先が吹っ飛んで危うく水神様に献げそうになったことが。)

さあ帰ろう、と思った時、フェルールが抜けない!

トラブルというのは、ほとんどが、これです。
暗くなりつつある山の中で、滑り止めのグリップを使ってさえもどうにもこうにも抜けなくなった竿を持って、
ひとり呆然と立ちつくす・・・。
ほんとに焦ります。

繋いだままでも、なんとか車内に入る長さの竿だと、あきらめてそのまま持ち帰って、
帰ってから(町まで降りてから)協力者を捜して、二人で抜けなくなったフェルールの前後を互い違いに持って思い切って抜こうとすれば何とかなるものです。
たまには、抜けてはいけない部分が抜けて破損するという事故もありますが・・・

しかし、目一杯曲げようが、どうしても車内に入らない長さの竿だと、
窓を開けて竿先を外に突きだして、なにかの拍子に折れないことを祈りながら、暗い山道を帰るしかないんですよね・・・。
降りしきる雨の中、抜けなくなった竿をナビシートに乗せて屋根をオープンにしたまま走り続けてびしょ濡れになったこともあります。

無事に帰り着いたら、あとは前項と同じ、
二人(もしくはそれ以上)で固着したフェルールを力業で抜く作業が待っています(笑)

このフェルールの固着、古い竿よりも、最近の新しい竿の方がよく起こるような気がします。
もうひとつ気がついたのは、国内ビルダーが作った竿に特によく起こるのではないか、ということです。

ブログ読者の皆さまも、そのようには感じられませんか?


その原因は次の2点だと思います。

①フェルールのフィッティングをあまりにもタイトにしすぎているのでは?
②フェルールの素材自体に問題があるのでは?

①についてですが、米国製のクラッシックロッドは、ほとんどの場合かなりフェルールの勘合を緩めに感じます。
このフェルールの緩さは長い年月の使用による摩耗によって起こったものではないか、と最初は考えていたのですが、ペイン、レナード、ハウエルズ、ウインストン、その他・・・、まったく使われていなかったデッドストックのロッドを手に入れるに至って、未使用の状態でもこれらのロッドはフェルールが緩めなことがわかりました。
このクラッシックロッドのフェルールが緩いという現象については、それらのロッドが製作された時からフェルールの勘合具合の調整があえて緩めにされていた、と考える方が正しいようです。

フェルールはタイトな方がいい、と考える人がこの国の竹竿ユーザーやビルダーに多いのは、どうも一部の人の声高な主張を妄信的に受け入れたがためなのではないか、と思われる節があります。

Jim Hidy さんが完成したロッドのフェルールの調整をするところに居合わせたことがあるのですが、彼もかなり緩めにフェルールの勘合を調整するんですね。
僕的には、
え~、こんなに緩くっていいの・・・?
っていうぐらいにです。
その時、彼は僕の竿のフェルールも仕上げていたので、無理を言って、最後までスッと差し込めるけどもギリギリ固め、ってレベルに仕上げてもらいました。
フェルールは使っているうちに摩耗するものだから、最初はキツイぐらいの方がいいだろうって。
だって最初から緩めでガバガバだと、あとが心配でしょ(笑)

結果を言えば、これは素人考えで、じつににあさはかな間違った考え方でした。

このフェルールは、もう、固着しまくり・・・(-_-;)
ワンシーズンでいったい何回とんでもないことになったか。

でも、日本人の一般的な性格から考えると、
より精度が高くキッチリしていれば、それだけ素晴らしく、レベルも高いのである!
ってのがあるでしょ(笑)

②フェルールの素材については、リールを作る過程でわかったのですが、
アメリカのニッケルシルバーと日本のニッケルシルバー(白銅っていうのですが)では、どうも組成が微妙に違うようで、色の問題だけではなく、硬さ(固さ)がかなり違うんですよ。

ひとことで言うと、アメリカのニッケルシルバーは「ねちっこい粘り」がある。
対して、日本のニッケルシルバー(実は市場には微妙に違ういろんな種類のニッケルシルバーがあるのだけれども、僕が知る限り)は相対的に硬くサクい。
アメリカのは伸び縮みするけど、日本のは伸縮しない、っていっていいと思います。
(もちろん金属のことですから、非常に微妙なレベルでですよ。)

この二つのコトが相まって、買ったばかりの新品の時はフェルールの具合は素晴らしい、
しかし、フィールドで使うとフェルールが固着してしまう竿が多いのではないだろうかと。

 

僕的には、少し緩めのフェルールにワックスを塗って使うのがいちばんトラブルがなくって良いのではないかと、最近考えるようになりました。

どんなものにも、緩みとか遊びというものが必要なのではないかと。

このフェルールに塗るワックスについてですが、
実にいろんなモノをいろいろと試してみました。
鼻の脂から、仏壇のロウソク、クリスマスキャンドル、市販品の各種フェルール用ワックス、パラフィン蝋、蜜蝋、ヤフオクで見つけたスペシャルブレンドな蝋、・・・etc

その結果ですが、

キツ目なフェルールにはフツーのキャンドルワックス、つまり、どこにでもあるありふれた白いロウソク(カメヤマローソクとかの仏壇などに使うヤツね)、がいちばん具合がいいようです。
ちょっと緩めなものには、蜜蝋が配合されたものが良いように感じました。
ただし、この蜜蝋が含まれたワックスは、粘着性が強くゴミをくっつけやすいようなので、こまめに拭き落として新しいものに塗り替える必要があります。
でないと、かえってフェルールの摩耗を進めてしまうことにもなりかねませんから。

また、どのようなワックスを使うにしても、
現場でロッドをソックから出したらすぐに繋ぐのではなく、
ロッドを繋ぐ前に、Tシャツかシャツの裾でオスのフェルールを軽く磨いて付着しているゴミと余分なワックスを落としてから、落ち着いてフェルールを繋ぐことがいちばん大切です。

このひと手間をかけることで、フェルール絡みのトラブルをかなり減らすことができますよ。


 


 

 

 




 






 

 

 


 

 


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